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創作小説をまったりと更新予定。BL中心のため苦手な方の閲覧はご遠慮ください。
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こんばんは!
まさかの3週連続更新です!
最近少し書く時間ができたので、
「書いたら上げよう」精神でがんばってます。

それでは、早速ですが今週分どうぞ!


―☆―☆―☆―☆―☆―☆―☆―☆―☆―☆―☆―☆



九谷と会ったその翌日。
夕方になると、蒼は緊張した面持ちで通話ボタンを押した。
数回の呼出し音の後、久しぶりの耳慣れた声に自然と蒼の顔は緩んだ。

「……蒼くん? 久しぶり。元気にしてた?」
「そーすけさん! お久しぶりです! 
元気がないって九谷さんから聞いたんですけど、大丈夫ですか!?」
「あー大丈夫大丈夫。ちょっと疲れてるだけ。それより久しぶりに蒼くんの声が聞けて、元気が出たよ」

心なしか明るくなった立花の声を聞いて、蒼も嬉しくなった。

「僕もですよ! ずっとレポート漬けで、そーすけさんとお話したいなと思ってて。すごく嬉しいです!!」

「――っ」
「だ、大丈夫ですか!?」

受話器の向こうで咳込む声がし、蒼は思わず立ち上がった。

「ごめん、ちょっとむせちゃって。大丈夫だから。心配かけてごめんね」

少し息が上がっているものの、元通りに戻った立花の声に安堵した蒼は、「それで――」と話を続けた。

「ドラマ化大変ですか? 九谷さんは打ち合わせとかインタビューが増えたって言ってましたが……」
「うん、そうだね。ここのところ、いつもの仕事に加えてインタビューが増えたかな。
でも10月から始まるから、ドラマ関係の仕事はもうすぐ落ち着くと思うよ」
「10月からですか! 楽しみだなぁ。 あ!じゃあお祝いしなきゃいけないですね!」

蒼はいいことを思いついたとワクワクしながら、何をしようか考え始めた。

「蒼くんがお祝いしてくれるの? それは嬉しいな。何してくれるのかな?」
「うーん。それはお楽しみということで! 期待していてもいいですよ?」
「わかった。じゃあ心置きなくお祝いしてもらえるように、残り2ヵ月も頑張ろうかな」


それからは取りとめもない話をし、時間はあっという間に過ぎていった。

「えーっと、蒼くんはもう夏休みに入ったの?」
「はい! でも教授の手伝いがあるので、たまに学校へ行きますけどね。
あと、回数は減ったけどアルバイトもまだ続けてますよ」

そういえば、最近はそーすけさんをコンビニで見ないなと思ってそう言うと、
立花も同じことを考えていたようで驚いた声を上げた。

「え! そうなの! 最近はコンビニに行っても蒼くんを見ないから、もう辞めちゃったのかと思ってたよ!」
「きっと時間が合わなかったんですね。今は月曜と水曜の夕方から夜にかけて入ってますよ」
「月曜と水曜の夕方ね、わかった。じゃあ蒼くんに会いたくなったらコンビニに行くよ! なーんて」
「あはは! 冗談でも嬉しいです! ありがとうございます。
ところでそーすけさんは、いつなら時間に余裕がありますか?」

立花の言葉に嬉しくなった蒼は、自分もと思って尋ねてみた。

「今日みたいに金曜の夕方とか……比較的夕方なら空いてるかな」
「夕方ですね! じゃあ僕もそーすけさんの声が聴きたくなったら、夕方に電話します!」
「蒼くん、それ……」
「はい?」
「いや、何でもないよ、うん」

こうして二人はお互いの近況も尋ね合い、電話を切ったのだった。

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こんばんは。
予告通りの連続更新です!(よかったぁ)

さて、さっそくですが本編をどうぞ!!


―☆―☆―☆―☆―☆―☆―☆―☆―☆―☆―☆―☆―☆




テスト週間も終わり、前期最後のレポートを提出し終えた蒼は晴々とした気持ちで外に出た。
今日は九谷が、投稿に向けて書いている原稿を見てくれることになっている。
蒼は待ち合わせ場所のカフェへと歩き出した。
今日のカフェは出版社近くにあり、パスタ、オムライス、サンドイッチの3種類から選べるランチが有名だ。
低価格なのに美味しいと、いつ行っても結構なにぎわいをみせている。

扉を開けて中に入ると、九谷はまだ来ていないようだった。
とりあえず後から一人来ることを伝えると、蒼は先に席に着くことにした。


しばらくすると、スーツ姿の九谷がやってきてすぐに目が合い、笑顔で向かいの席に座った。

「やぁ、お待たせしちゃったね。打ち合わせが長引いてさ」
「いえ、さっき来たところですから。それよりお忙しいところ、すいませんでした。大丈夫ですか?」
「大丈夫大丈夫。今日の打ち合わせは片がついてから来たから。
それより、お昼食べた? 俺はまだなんだけど」

そう言って九谷はメニューをめくり始めた。

「あ、僕もまだです。ここで食べるつもりだったので」
「じゃあ一緒に頼んじゃおうか。何にするか決めた?」
「はい、さっき見てたので。サンドイッチランチにします」
「了解! すいませーん」

オムライスランチ、サンドイッチランチをそれぞれ頼むと、それはほどなくして机に運ばれてきた。
食べながらというのも集中できないと、二人は先に食べてしまうことにした。


食べ始めてしばらくすると、「そういえば……」と九谷が話しかけてきた。

「最近、蒼介と会ってないんだって?」
「……はい、そうなんですよ。前は会えなくても時々電話で話してましたから、
それほど会ってない気はしなかったんですけど。最近はそーすけさんもドラマ化で忙しいみたいですし、
僕もテストやレポートがあって、なかなか電話もできなかったんです」

ちょうど立花がどうしているか聞こうと思っていたので、蒼は最近の自分たちの状況を話した。

「そうか、それでこの間会ったときに元気がなかったのか」
「え!? お元気じゃないんですか!?」
「いやいや、身体は健康だよ。あー、ちょっと疲れてたかな? でも、そうじゃなくて覇気がなかったというか……」

(覇気のないそーすけさん……)

「でも原因がわかったな。うんうん」

想像できないなと思っていると、九谷が納得したように呟いた。
何やら一人で納得している九谷に、蒼は気分が晴れず思い切って尋ねた。

「原因って何ですか? そーすけさんは大丈夫なんですか?」
「あぁ、ごめんごめん。でも大丈夫だから安心して。 
そーだなぁ。あえて言えば、一度電話してあげてよ。明日の夕方だったら家にいるはずだから」
「明日の夕方は繋がるんですね!? わかりました! 僕もずっと話したいと思ってたんです!」

そう言いながら、自然と笑顔になった蒼を見た九谷は、笑顔でうなずいた。

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こんばんは!
意外と時間がなく、週末更新ぎりぎりになってしまいました。
その代わり(?)来週末も更新できそうです!
久しぶりの連続週末更新!!……になるといいな。


今回は25話の続きからになっております。
25話から続けて読んでいただいたほうがわかりやすいかと。

それでは立花の部屋での二人の会話をお楽しみください!




―☆―☆―☆―☆―☆―☆―☆―☆―☆―☆―☆―☆―☆―☆―☆―☆―☆―☆




それから、メールでやり取りしていた小説の続きについて話し合い、流れは自然と九谷の話題になっていった。

「ところで、悠とはあれから会ったりした?」
「あ、はい。一回だけ。この間そーすけさんに見てもらったものを、直接見てもらいました。
初めて出版社にお邪魔したんですよ!」
「へーそうなの。 どう?直接見てもらって参考になった?」

立花はそう言ってコーヒーを一口飲むと、改めて蒼の顔を見た。

「はい! 自分では気がつかないような指摘もくれますし、なにより出版社へ行けたことが嬉しかったです!」
「そっか。それなら紹介した甲斐があったな。
それより出版社に行けたことがそんなに嬉しかったの?」

蒼くんの好きそうなものが出版社にあったかなと思い出しながら、不思議に思っていると蒼が笑顔で応えた。
「はい! 出版社に入ったら、この間発売された橘先生の大きいポスターが迎えてくれたんですよ! 
あ、『そーすけさんの』ですね!」
「あ、そういえば貼ってあったね。そ、そうか……ありがとう」

思わぬ返答に動揺しつつ蒼を見ると、ポスターを思い出しているのか嬉しそうな笑みを浮かべていた。

「他のポスターと比べても大きなものが貼ってあって、橘先生ってすごい人なんだなって改めて実感しましたよ。
なんか自分の中では、未だにそーすけさんと橘先生が別々の人に思えるんですよね」

「なんだか橘先生に嫉妬しちゃうな。 ま、自分なんだけど」
「え?」
「蒼くんは橘龍介が大好きでしょ? だからちょっと妬けちゃうなーって。自分に嫉妬してどうするんだって話だけど」

(何言ってんだ、俺は。感情だだ漏れ……)
今更後悔しても口から出た言葉は戻らないと項垂れていると、しばらく黙っていた蒼がポツリと呟いた。


「うーん。でも僕、そーすけさんのことも好きですよ?」


「…………ん?」

自分の願望が聞かせた幻聴かと、立花は顔を上げた。

「だから僕、そーすけさんが橘先生って知る前から、そーすけさんのことも尊敬してますし、好きですよ」
「蒼くん……いや、うん、ありがとう。俺も蒼くんのこと素直でいい子だと思ってるよ」
「えへへ。そうですか? ありがとうございます」

(蒼くんの言う“好き”っていうのは、尊敬と信頼を込めての“好き”だよな……)
立花は蒼の直接的な言葉に一瞬喜んだものの、それは自分とは違う種類のものだと思い直した。

窓の外では、相も変わらず雨が降り続いていた。

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