創作小説をまったりと更新予定。BL中心のため苦手な方の閲覧はご遠慮ください。
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さて、23時過ぎてしまいましたが…
最終話!
エピローグです。
これまでお付き合いいただき、ありがとうございました。
なんとか連載終了できました。
最初考えていたストーリーとはずいぶん違ったものとなりましたが、
なんとなくメッセージ的なものも織り交ぜられたかなと(自分なりに)。
それでは、また新しいお話でお会いできたら幸いです。
ありがとうございました!!
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「ドラマ終了おめでとうございます! お疲れさまでした!」
「ありがとう」
グラスが小気味いい音をたてる。
10月に始まったドラマは順調に進み、今日最終回を迎えた。
せっかくだからと立花と蒼の二人は一緒に最終話を鑑賞し、そのまま夕食をとることにした。
「それにしても、あっという間だったなー」
「そうですね。毎週楽しみにしてたのに……それが終わっちゃうのも少し寂しいですね」
「うーん、そうだね。でも俺はそれ以上に、これからも蒼くんと一緒にいられるきっかけをくれたこのドラマに感謝してるよ」
そう言って立花が愛おしそうに蒼を見つめると、蒼は赤くなって下を向いた。
「そんなの僕だって同じです。蒼介さんとこんなにたくさん一緒にいられるようになるなんて。最初は顔も知らない画面の向こうの人だったのに…… 不思議ですね」
「本当にね。俺もあの『あおくん』と会うようになるなんて、思いもしなかったよ。
これからもよろしくね、蒼くん」
「はい、こちらこそ。
僕、今とても幸せです」
窓の外はすっかり暗くなり、空からは白い雪が舞い降りる。
いたる所でネオンが輝くこの季節。
立花の部屋は今日も温かな空気につつまれる。
まるで、あの日の夕焼け空のように。
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こんばんは★
今日も無事に更新できました!!
そしてそして!
なんと、今回合わせてあと2回で終わりです~
そして、最終話? 更新は本日23時に行う予定です!
それでは実質最終話、お楽しみください!!
―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・
(何も考えずに来ちゃったけど、そーすけさんいるかな……)
不安に思いながらインターホンを鳴らすと、しばらくして返答があった。
「あ、あの。お久しぶりです。柳瀬です」
「あ、蒼くん!? どうしたの突然! ちょっと待って、今開けるから」
バタバタと音がした後、マイクが切れて横の自動ドアが開いた。
そのままエレベータに乗りこむと、行き慣れた階のボタンを押す。
エレベータを降りて扉の前に立つと、大きく深呼吸をしてインターホンを押した。
「こんにちは、どうぞ上がって」
いつもと変わらぬ笑顔で出迎えられ、気持ちが一瞬ゆるみそうになったが、「いやいや」と気持ちを奮い立たせ、もう一度深呼吸をすると一歩を踏み出した。
「お邪魔します」
「それで、今日は突然どうしたの?」
飲み物を置いて座った立花は、蒼の方を見てそう問いかけた。
「はい。今日はそーすけさんに聞いてもらいたいことがあって来ました」
蒼は深く息をつくと顔をあげた。
「この間のことです。あの日、そーすけさんに言われたことをこの2週間ずっと考えていました。本当のことを言うと、僕はそーすけさんが考えているように橘龍介とそーすけさんが同一人物とか、違うとか……そんなことを真剣に考えたことはありませんでした。そーすけさんはそーすけさんだし、橘先生は橘先生だし。でも、ああやって言われて初めて真剣に考えました」
一度言葉を切って、飲み物を口にすると蒼は再び話し始めた。
「そーすけさんと橘先生を区別していたつもりはありませんけど、もしかしたら結果的にそうなっていたかもしれません。『橘先生』としてそーすけさんと知り合ったわけじゃありませんから。でも、だからこそ僕はそーすけさんを立花蒼介としてちゃんと知ることができたと思うんです。
……おこがましいことを言ってすいません。それに何より、この前そーすけさんに言われたこと……されたこと。嫌じゃなかったです。それより、そーすけさんと会わなくなることの方が寂しいんです。
…………これが、今の僕の答えです」
最後まで言い終えると、蒼はいつの間にか下を向いていた顔を上げた。
「そーすけさん?」
「いや、うん、ちょっと待って。今きっと変な顔してるから。
でもありがとう。やっぱり蒼くんは蒼くんだね。
蒼くんがこんなに真剣に応えてくれてるのに。―――― 俺ってバカだな」
そうして立花はおもむろに立ち上がると、静かにこう言った。
「ちょっと外に出ようか」
外に出るとすでに夕暮れ時で、西の空は綺麗なオレンジ色に染まっていた。
そのまま二人は無言で歩き、行きついた先は住宅街の中によくある小さな公園だった。
少し寒くなり始めた夕暮れ時。
静かな公園のベンチに二人は腰かけた。
「今日はありがとう。突然のことで驚いたけど、蒼くんの真剣な気持ちが聞けて嬉しかったよ」
「いえ、この間のそーすけさんの言葉には、ちゃんと応えたいと思っただけですよ」
「うん、その気持ちが嬉しい。だから俺も改めて言うよ」
立花はゆっくりと立ち上がり、ベンチに座る蒼の前に蒼の目線にあわせて少しかがんだ。
「蒼くん。俺はいつの間にか、気づくといつも君のことを考えるようになってた。
君の素直でまっすぐなところに魅かれていたんだ。
ゆっくりでいい。あせらなくていいから。
――――俺とつき合ってください」
吹き抜ける風が木の葉を揺らす。
はらはらと舞い落ちる木の葉が夕日に照らされて赤く染まる中、
蒼はとびきりの笑顔で立花を見た。
「はい、よろしくお願いします!」
最近は毎週更新できていますね、こんにちは。
あと数回、よろしくお願いします!
―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・
(橘先生のことはもちろん尊敬してるし、そーすけさんのことも尊敬できる大切な人だし……)
「うーんうーん」
「柳瀬くん、どうしたの? 最近よく考え事してるみたいだけど」
「あ! すいません。大丈夫です」
「ほんと? それならいいけど」
昼下がりのコンビニ。どうやらまた顔に出てしまっていたらしい。
(僕ってそんなにわかりやすいのかなぁ)
そーすけさんのお祝いをしてから2週間。
あれからずっとそーすけさんのことを考えているけれど、考えがまとまらない。
あの日言われたこと。そーすけさんの気持ち。それから――
(って、もう! 今はそのこと考えない!!)
蒼は熱くなりかけた頬を手であおぎながら、また立花のことを考え始めた。
「お疲れさまでしたー」
「お疲れー」
今日はこれから九谷さんと会う約束をしている。
先日久しぶりにメールが来て、作品の進み具合の話から会うということになった。
駅近くのカフェに入ると、九谷はすでに来ていた。
「やあ! 久しぶり!」
「お待たせしました」
席に座ってコーヒーを注文すると、作り置きなのかコーヒーはすぐに運ばれてきた。
「電話の日以来だね。元気だった?」
「あ、はい……」
いきなりの話題に動揺しつつ、気づかれないようにとりあえず返事はしてみたものの、やはり声に表れていたのだろうか。
「その話はあとで」と一言返されてから、当初の目的である小説の進み具合の話になった。
「それで、最近はどう? 順調に進んでる?」
「それが、あまり上手く進まなくて。考えても、話の世界に入りきれないというか……」
「うーん。それはやっぱりあの日のせいなのかな?」
「え!! えーっと」
「やっぱりそうか。それじゃあ、そっちを先に話そうか。そうしないと、いつまでたっても進まなさそうだしね」
「すいません」と頭を下げてから、蒼は気になっていたことを聞いた。
「ところで、九谷さんは最近そーすけさんに会いましたか?」
「え!! えーっと、そうだね、うん。会ったには会ったけど……」
(ここは蒼介の名誉のために黙っておいた方がいいよな)
「じゃ、じゃああの電話の後のことは聞いたんですよね?」
「いや。会ったというか、正確には『見た』だな。話せる状態じゃなかったから。何があったかは、まったく聞いてないんだよ」
話せる状態じゃなかったという言葉が気にはなったものの、蒼はそれ以上に九谷へどうやって話すか考えることで、すぐに頭がいっぱいになった。
「それで、何があったんだい? 二人とも様子がおかしいからさ。ん? お兄さんに話してみな?」
「えーっと、実は……」
それから蒼はあの電話の後の会話や何があったのか、一部をはぐらかしながら伝わるようにと考えながら話した。
「なるほどねー、だから蒼介があんな状態だったのか。で、蒼くんはどうしたらいいのか分からなくて悩んでると」
「はい。考えがまとまらなくて……」
「そっか。 でも、俺はそんなに深刻になるようなことじゃないと思うけど。あいつも、橘龍介に嫉妬してる自分に呆れてるだけだろうし。それより、あいつに好きって言われて嫌だった?」
「うーん」
立花に言われた言葉を思い返してみる。
驚いたのは事実だ。
それでも嫌ではなかったし、気持ち悪いとも思わなかった。
(むしろ…………)
「九谷さん!! ありがとうございます!!」
「うん、自分の素直な気持ちをぶつければ、きっと蒼介に伝わるよ」
「はい!!」
そう言うと、蒼は鞄をつかんで駈け出した。