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創作小説をまったりと更新予定。BL中心のため苦手な方の閲覧はご遠慮ください。
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こんばんは。
いよいよクライマックスに近づいてきました。
今回は山場かと……

それではお楽しみいただければ幸いです~



―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・




コップにオレンジジュースを注いで戻ってきた立花は、それぞれの前にコップを並べてから蒼の前に座った。

「さぁ……話すと長くなるけどいいかな? 
俺は『橘龍介』というペンネームで執筆してるけど、本名は『立花蒼介』だ。
そんなことはわかってると思うけど、長年ペンネームを使っていると、橘龍介の名が定着してくるんだよ。それは同時に俺の作品を見た人に、橘龍介はこういう作品を書くからきっとこういう人物だ。こうに違いない。という人物像を築かせるんだ。そして、その人物像を俺に当てはめようとする。
そんなことは今更だし、立花蒼介も橘龍介も俺は俺だと思ってるから気にすることもなかった。…………今まではね」

「今までは? じゃあ今は違うってことですか?」

「俺のことをすごく頼ってくれる子がいてね。
俺が橘龍介と知った上で立花蒼介として。でもその子は橘龍介の大ファンで、橘龍介のことを話すときは目がキラキラ輝くんだ。もちろんそんな姿もすごく可愛いんだけど。でもそこがすごく気になって、橘龍介に嫉妬したりして。
…………それが好きな子ならなおさらね、蒼くん」

「え!! 好きな子!? えーっと…………」

「そうだよ、俺の好きな子」

立花はそう言いながら立ちあがると、ゆっくりと近づいてきた。

「俺はいろいろアピールしたんだけど、気づいているのかいないのか。全然態度も変わらないし。でもたまに、こっちが動揺するようなことを言ったりして。
ねぇ、蒼くん? どう思う? その子は俺のこと好きなのかな?」

「そーすけさん!? もしかして酔ってます!?」

かがんで顔を覗きこまれた蒼の心臓は早鐘を打ち始めた。

「いや、いたって冷静だよ。
…………やっぱりわざとなの?」

「え?」

突然あごをつかまれ、上向かされた蒼の唇に温かいものが重なった。

「――――んっ」
「蒼くん、その子は…………いや、君は俺のことを、立花蒼介のことをどう思ってるのかな? 俺は蒼くんのことを可愛いと思うし、愛しい存在だと思ってるんだけど」

「僕は…………」

「そんな顔されると――。
うん、答えは急がないからさ。ゆっくり考えて」

 

「―――― 蒼くん!?」

気がつくと、キッチンへ向かおうとする立花の腕をつかんでいた。

「あの……、僕にとって橘龍介という作家はもちろん尊敬する人ですし、あこがれの人です。それがそーすけさんと100%重なっているかと言われると……。
でも! そーすけさんのことも尊敬していますし、頼りにしてますし…………大切な存在です!」

「そんな嬉しいこと言われると……、ありがとう。
でももう少しゆっくり考えてほしいな。きっとその気持ちはまだ俺が求めているものとは違うから。さ、今日はもう遅いし家まで送るよ」


そう言って今度こそキッチンへ向かった立花の後ろ姿を、蒼はじっと見つめた。

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さて、32話のつづきでございます!
いま読み返すと、分けた意味がわからない……

それではどうぞ!


―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・




「今度は誰だ? 蒼くん、ちょっと待っててね」

「はい、立花です。……何だ、お前か」

受話器を取って話し始めると、立花はすぐに不機嫌な声に変わった。

「そうだよ。今、蒼くんが来てるんだよ。……ばっ、お前! そんなことまだ言えるわけないだろ! ……チャンスって。あー待て待て、いま代わるからそれだけはやめてくれ。
……ごめん蒼くん、悠からだ。蒼くんと話したいんだと」
「九谷さんですか! 何だろ? 久しぶりだな」

「もしもし、柳瀬です」
『やぁ、久しぶり。ごめんね、二人でいるときに。どう? 今日は一日蒼介と遊んで楽しかった?』
「はい、もちろん! いろいろお話しできて、すごく楽しかったですよ!」
『そうかそうか、それは良かった。ところで、いま蒼介はちょっとした悩みを抱えてるみたいなんだ。柳瀬くんは知ってる?』
「え! 本当ですか? 全然気づきませんでした……」
『うん。きっと柳瀬くんの前では隠してるからね。だから、柳瀬くんからそれとなく聞いてみてよ。きっと君にしか解決できないことだからさ』
「僕にしか? うーん、でも僕が力になれるってことですよね? わかりました、がんばってみます!」
『うん、応援してるよ! 何かあったら教えてね!』
「はい、わかりました! じゃあそーすけさんに代わりますね」

ありがとうと言って受話器を受け取った立花は、再び不機嫌そうに話し始めた。

「で? 何を話したんだ? ……え? 蒼くんから?……って、おい! 待て!」

電話が切れたのか、ため息をつきながら受話器を戻した立花は蒼の向かい側に座った。

「で? 蒼くんは悠から何を言われたんだい? 悠は蒼くんに直接聞けって言ってたんだけど」
「え! えーっと、その……」

それとなく聞いてほしいと言われた手前、直球で聞くのはどうかと戸惑っていると、立花は少しムッとした様子でソファにもたれた。

「そうか。俺には言えないような話しなんだ。いつの間にそんなに仲良くなったんだい? まぁ、それならそれでいいけど」
「いえ! 言えないんじゃなくて!! その……そーすけさん何か悩みごとがあるんですか? 九谷さんに僕なら力になれるって言われて」
「――――っ! 悠のやつ!」
「僕にできることがあるなら言ってください! 力になりたいんです!」
「いや、その……うん、蒼くんなら俺の悩みを解決してくれそうだし。話そうかな」
「やっぱり悩んでたんですね? どうして隠してたんですか? 話して下さい」
「うん、でもその前に飲み物をとってきてもいいかな? それから話すよ」

そう言って空のコップを持った立花は、キッチンへと歩いていった。

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こんばんは!
今週は連続で更新成功です!
なんて不定期な……

そしてそして、今回はなんと!
2つに分けて更新します~

つづきは今日中に上げますので、そちらもよろしくお願いします!



―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・




「さぁ、上がって」
「お邪魔します」

立花の家に着くと、時計の針は21時を少し回ったところだった。

「今日は本当に楽しかったよ。蒼くんに祝ってもらって、改めてドラマ化したんだって実感できたし。ありがとう」

「とんでもない! こちらこそいつもそーすけさんには、たくさんアドバイスしてもらって。それに何より橘先生のファンですから! 橘先生の生み出す作品はどれも大好きですよ。これからもがんばってくださいね!」
「うん、ありがとう。蒼くんにそう言ってもらえると、もっと頑張れる気がするよ」

少しだけ寂しそうな顔をしたような気がしたのは気のせいだろうか。
気になったものの「そういえば」と立花が話し出したので、一瞬よぎった考えはそのままうやむやになった。

「あの万年筆どこかで見たと思ったら、前に一緒に買い物に行ったときに見かけたのと同じだよね?」
「あ、はい。そーすけさんが手にとっていたので。でも色は新色なんですよ! 前は黒とシルバーしかなかったけどこの色を見つけて、そーすけさんのイメージにピッタリだと思ってこれにしました」
「そっか、俺はこういうイメージなわけだ」

うんうんと頷きながら立花が万年筆を見ていると、ふいにインターホンが鳴った。

「ん? こんな時間に誰だ? ……はい。あ、いま開けます」

(あー、やっぱり来ちゃったか)

玄関に向かう立花を見送ると、蒼は深呼吸をした。


しばらくすると、大きな花束をかかえた立花が玄関から戻ってきた。

「これ蒼くんから!? どうしたの!?」
「本当はそーすけさんが家に一人で帰った頃に届くようにして、驚かそうと思ってたんですけど……僕からのサプライズです! 受け取ってください! それから手紙も入ってますけど、それは後から読んでほしいです……恥ずかしいので」
「そっか、だからあの時戸惑ってたんだ。すごくびっくりしたよ! 蒼くんから花束を貰えるなんて。本当にありがとう」

花束を机の上に置くと、今度は電話が鳴りだした。


つづく。

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