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さてさて、オレンジジュースも15話を迎えました。
この話はいったいどこまでいくのでしょうか…

今回はいつもと違って、あの方視点のお話です。


☆―☆―☆―☆―☆―☆―☆―☆―☆―☆―☆―☆―☆―☆―☆―☆―☆―☆―☆―



「めちゃくちゃ怪しんでたぞ」

オフィスの簡易ブース。
向かい合って座った男二人が、何やらヒソヒソとやり取りをしている。

「でもあれ以外どうしろと?いきなり家を訪ねろとでも?」
「いや、それは絶対にダメだ!」
「蒼介が「面白い文を書く子がいる」と教えてくれたことには感謝する。ただ、その文章を本にして他の人にも読んで欲しいと思ったのは俺自身だし、どうやってコンタクトを取ろうがそこは自由だろ」

目の前に座る男は担当者であり、昔馴染みの九谷悠。
蒼くんのことを教えたのは俺だし、蒼くんの文章が認められるのも当然だと思うが、
勝手な接触を許すわけにはいかない。

「とりあえず返信するように言ったから、メールでやりとりしろ。会うときは俺も同席する」
「何言ってんだ。あおくんに橘龍介だってバラしてないんだろ?お前がいたら変だろうが」
「言えると思ったら自分で「橘龍介は俺だ」って言うさ。それより先にバラしたらコロスぞ。」

自分が橘龍介だと言わないのは、別に言いたくない訳ではない。
言ってしまうことで相手の態度が変わってしまうのが怖いんだ。
とくに蒼くんは橘のファンだし……橘だと知ったところで避けたりするような子でないことは何回か話してわかったが、それでもその確信が欲しい。
立花蒼介として接してくれる、大切な一人なのだから。

「おーコワイコワイ。ま、とりあえず忠告通りメールでやりとりしてみるさ。
でも俺は宝石の原石を見逃すようなことはしないからな」

悠はそう言い置くとさっさと立ち上がり、自分の仕事デスクへと歩いて行った。


(俺だって、こんなに黙っておくつもりはなかったんだ。ただ言う機会がなくて……いや、これは言い訳か)

言う機会がなかったわけではない。蒼に対してだから余計に慎重になる。

 (どちらにせよ、もうしばらく時間が必要だな)

そうやってぐだぐだ考えながら、立花は帰路についた。

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